桑の葉青汁の栄養と効果

カイコの餌としてよく知られている桑の葉ですが、実は古くから薬として重宝されていました。日本では鎌倉時代に飲水病(現在の糖尿病)の特効薬として知られており、中国では2世紀からすでに漢方薬の一種として扱われていたという記録が残っています。
では、桑の葉には具体的にどのような栄養が含まれているのかご紹介します。

デオキシノジリマイシン(DNJ)

DNJとは桑の葉の特有成分で、血糖値の急上昇を防ぎ、上昇しすぎないようにサポートする働きがあります。甘いものや炭水化物を食べる前に桑の葉青汁を飲んでおくと、体内で糖の吸収を防いでくれるのです。糖尿病予防の効果があり、実際の予防治療にも使われています。そのほか大腸を刺激して便通改善にも役立ちます。DNJが豊富に含まれている食品は桑の葉のみなので、とても貴重な成分です。

クエルセチンマロニルグルコシド(Q3MG)

桑の葉はクエルセチンマロニルグルコシド という抗酸化作用をもつ成分を含んでいます。
抗酸化作用とは細胞の酸化、つまり身体の老化を引き起こす原因となる活性酸素という成分を除去する働きのことです。活性酸素は誰しもの体内にある成分ですが、紫外線やストレスなどの原因で過剰に発生すると、細胞や血管を傷つけてしまいます。
桑の葉に含まれるQ3MGは、その余分な活性酸素を除去して健康をサポートしてくれます。なかなか通常の食事からはとりづらい成分ですので、桑の葉から定期的に摂取しましょう。

Q3MGは他にも血糖値を下げたり、肝臓のストレスを改善する作用があります。
また、マウスに高脂肪食を与えて動脈硬化のリスクを計測した実験によると、Q3MGを単体で与えた時よりも、桑の葉をそのまま混ぜた餌の方が動脈硬化の発症率が低くなるという結果が出ました。桑の葉に含まれるDNJなど他の成分との相乗効果であるとされています。サプリなどで単体で摂るよりも、桑の葉青汁でバランスよく摂ることをお勧めします。

GABA(γ-アミノ酪酸)

GABAとは、脳内で作られる天然アミノ酸のひとつです。桑の葉に含まれているGABAを摂取すると、それ自体がそのまま脳に行き着くことはないのですが、腸内酵素がGABAを生み出し、効果を発揮することが明らかになっています。
GABAの主な働きは脳内の血流を活発にして酸素供給を増やし、脳細胞の代謝を上げることですが、そのほかにも様々な嬉しい作用があります。

  • 血圧を下げる
  • 中性脂肪を抑える
  • リラックス効果
  • 肝臓の働き促進
  • 二日酔い防止

ストレスが多いと体内のGABAが不足してしまうので、疲れたと感じた時は特に意識的に摂りたい栄養素です。

ポリフェノール

桑の葉はポリフェノールを豊富に含んでいます。ポリフェノールは植物由来の抗酸化物質 で、アンチエイジングの強い味方です。ポリフェノールは動脈硬化や高血圧、血糖値の異常や糖尿病予防などにも効果があります。
桑の葉に含まれているポリフェノールは、特にアントシアニンとルチンという成分が豊富です。アントシアニンは眼精疲労回復や視力の向上などの効果があります。対してルチンはビタミンCの吸収を助けて肌や血管を健康に保って若々しさを与えてくれます。

食物繊維

桑の葉は食物繊維をごぼうの約8倍も含んでおり、便秘解消に役立ちます。食物繊維とは食物に含まれている繊維質の栄養素のことで、消化・吸収されずに腸までたどり着くことができます。そして腸を刺激したり善玉菌の餌になることで、排泄を促す働きをしてくれるのです。便秘になると腸が栄養を吸収しづらくなったり、腸内で毒素が発生してしまうので、早めの対処を心掛けましょう。

その他豊富なビタミン、ミネラル

桑の葉は他の食品と比べても栄養豊富で、上記の代表的な栄養素以外にも、多くのビタミンやミネラルを含んでいます。

桑の葉に含まれているビタミン・ミネラル
栄養素働き含有量
ベータカロテン体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を強くし、免疫力を強くするブロッコリーの約10倍
ビタミンE血管を健康に保ち細胞の劣化を防ぐ。
ホルモンバランスを整え自律神経を安定させたり、血行促進の効果がある
ほうれん草の約8倍
鉄分血液の構成成分であるヘモグロビンの材料で、貧血防止に効果的。月経や妊娠などで女性に不足しがちな栄養素しじみの約2倍
カリウム余分にため込んでいる水分を排出するバナナの約5倍
カルシウム骨や歯を強くしたり骨粗しょう症の予防に効果的牛乳の20倍以上

栄養豊富な桑の葉は料理に使うことはあまりない食材ですが、青汁なら簡単に日常生活に取り入れることができます。
定期的に桑の葉青汁を飲む習慣をつけることによって、身体の内側からゆっくりと体質改善していきましょう。